退職の儀式

再就職せずリタイアするのでいらなくなるものといえばスーツ。

今でも着るのが嫌い。

見るのも嫌い。

休日まで仕事じゃないのにスーツ着ている人を見るとイラッとする。

とにかく嫌いだった。

仕事が多様化しているのにドレスコードは戦後から変わらず。

一部普段着を推奨している企業があるくらい。

辞めれば仕事の象徴のスーツとオサラバできる。

数えてみると今は春冬で7着もっていた。

夏はスラックスに半袖ワイシャツ。

スラックスは4本ある。

スーツは年に1着ずつ買い換えている。

体型は少しずつしか変化していないのでこんなもので、特に決めたわけでもないがなんとなくだ。

7-10万の高いスーツ買っていたから控除できないかと調べてみたけど給与所得控除の半分まで辿り着かないといけなくて諦めたこともあった。

楽天で安いスーツ買ったこともあった。

お値段以上に安っぽくて1回着て捨てたっけ。

三つボタンやダブルのスーツが流行ってた時代もあった。

そういえばあの頃はスーツそんな嫌いでもなかった。

痩せていたからダブルで綺麗なシルエットになった。

クールビズなんて言葉がない時代は真夏も長袖ワイシャツにースーツの上下着て出先まで歩いていたっけ。

暑さに倒れそうになっていた。

今考えると狂気の沙汰とは思えない。

スーツを着ると仕事のスイッチが入るとよく聞く。

自分も少なからずあった。

若い頃スーツ着たまま徹夜して少し仮眠するんだけどリラックスができず疲れが抜けない時期もあった。

たった80時間残業なんて閑散期の最低ライン。

それが普通だった時期もあった。

それもこれも皆懐かしい思い出。

会社辞めたらスーツをバッサリ捨てることにする。

春冬一着ずつは残しておいて他は全て捨てよう。

それを会社勤務の区切りとする。

一着残すのはスーツ着用の行きつけのお店がある。

まあ節約生活になるのでその店に行くことはなくなるが念のため。

嘘かホントかわからないが半移住予定のタイはスーツ着てると印象がいいらしいのでいざという時にとっておく。

残りは退職の儀式としてドラム缶に放り込んで灯油染み込ませて派手に燃やして退職の儀式としたいところだが周りにそんなことができる場所もない。

神社仏閣でお焚き上げで燃やしてもらうのもありだがお布施かかりそうだし無宗教なのでそこまではやりすぎか。

でも区切りの儀式として普通に捨てるのではなくハサミでばらばらに切って焼却場まで持って行くか。

残したスーツもクリーニング出して見えない押入れにしまっておこう。

年間2000時間以上着ていたスーツを全く着なくなると思うと少し寂しくなりそうだけどそれが望んでいたことだ。


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