TBSでリクルートを中途退職して社長になった人の特集をしていた。
タイトルを見るとまともに定年までいられない程のリストラをしている超ブラック企業のようにも見えるが番組内では自主退職して別の会社に転職したり会社を興していると報じていた。
リクルートを辞めてそこから会社を立ち上げることで儲かっている社長がなぜかとても多い。
これまで取り上げてきたデリバリサイト「出前館」中村利江社長や、
日本の遊びを予約できる「アソビュー」山野智久社長も元リクルート社員だ。
なぜ元リクルートの社長が多いのか?
きっと何かあるに違いない。
すると元リクルート独特のオリジナルな儲かり法則が。
リクルートは就職、結婚、中古車、住宅など様々生活情報を扱う。
色々な情報に触れる機会が多い。
創業者の江副浩正氏の影響で企業文化がチャレンジ精神のかたまり。
リクルート人事企画部、西村晃部長によると昔からよく言われるのは事実。
定年退職者はリクルート58年の中で2名だけ。
辞めて転職するか会社を興す人がほとんど。
脈々と受け継がれている結構重要なキーワードが
「自ら機会を作り出し機会によって自らを変えよ」
これはリクルート創業者の江副氏が社長時代の社是になっていた。
個人のチャレンジ精神を大事にして新しい事業を興す人が多い。
株式会社ママスクエアの紹介
社長は藤代聡さん(52歳)
1989年にリクルートに入社して14年間勤務し退職し起業して社長に。
年間7億円近くを稼ぎ出す。
ショッピングモールにママスクエアのオフィスがある。
子供たちが一杯、託児所?保育園?
お母さんが子供を見守りながら働ける環境。
働いているのは全員女性。
ママが子供を託児エリアに預けて隣のオフィスで仕事ができる。
ママがしているのはママスクエアが依頼を受けたいろんな会社の仕事の一部。
電話の営業、データチェック、データ入力など仕事は様々。
パートタイム制で希望のシフトで働ける。
直ぐに何かあれば(子供のもとに)駆けつけられる。
子供を預けるスタッフもママ。
子供を預かるママとオフィスで働くままに分かれる仕組みになっている。
時代のニーズに合っている。
自分の子供が生まれて朝から晩まで育ててストレスになっていた。
待機児童問題に直面。
ここでリクルートの教えを思い出した。
「世の中の負があるところに大きなチャンスがある」
リクルートは結婚、就職、引っ越しなど情報がなくて不満なジャンルをビジネスにして成功している。
きっとママの不満にもビジネスチャンスがあるに違いないとママスクエアを立ち上げた。
更に行政に何の事業にあたるのか聞きに行ったところ託児業でも保育業でもないといわれた。
届け出も必要ない。
ママが子供と同じ場所にいるママスクエアでは法律上託児所でも保育園にも当てはまらないのでこれらの規制に縛られることなく色々な場所に展開できる。
保育園はショッピングモールに作るのは難しいがママスクエアであれば作れる。
ショッピングモールからしてもママスクエアで働いている人が店舗で買い物をしてくれるので活性化が図れる。
創業から3年で21店舗に増加した。
次は村上清貴さん(57歳)
1983年からリクルートで10年働いたのち退職し株式会社村上農園に入社し現在は社長になっている。
村上農園は自社工場で野菜を作っている会社。
底稼ぎ頭がブロッコリースーパースプラウトという野菜。
昨年の売り上げは86億円。
儲かりの秘密は独自の栽培方法。
透明なドラム缶のような形をした容器の中に膨大な量の種がぎっしり詰まっている。
定期的に自動で水が出るようになっておりすべての種に均等に水と光が届くようにゆっくり回転する。
発芽から3日で出荷できる。
徹底した自動化システムで効率よく大量に作ることが出来る。
最先端の野菜工場。
叔父の会社が農園だった。
会社を継ぐためにリクルートを退職して転職した。
最初はカイワレ大根を作っていた。
ところが大阪堺市でO157の集団食中毒でカイワレ大根が疑われて無実だったものの大赤字になった。
このままでは会社が潰れてしまうとリクルートの教えを思い出した。
「創業者利潤を追求し必ずNo.1になる」
誰も手掛けていないところで一番になるのがビジネスを成功させる近道。
そこで村上さんは色々な野菜の芽を調べて商品化できそうなものを見つける。
世界中から手当たり次第種を集めてひたすら発芽させて調べる。
そして苦節三年のある日、ブロッコリーの芽にスルフォラファンという解毒、抗酸化作用のある成分が見つかったとアメリカの大学からニュースがあった。
喜び勇んで育ててみると栄養が豊富で成長が早く発芽からたった一週間で収穫できる。
たくさん作って売り出すと世の中の健康志向のおかげで大ヒット。
栽培の仕方を変えて栄養価を3倍に増やしてブロッコリースーパースプラウトと名付けて売り出した。
これが特大ホームラン。
昨年800トンで日本でのシェアNo.1
次は牡蠣の味がするオイスターリーフを販売した。
現在の野菜は35種類。
続いての紹介は(株)ロコパートナーズ
社長は篠塚孝哉さん(33歳)
2007年に入社し4年間勤務して退職。
2011年20代でこの会社を興した。
宿泊予約サイト「Relux」を運営している。
ネットで旅館やホテルを予約できるサイト。
この手のサイトはじゃらんや一休など数多くある。
Reluxの特徴は紹介する宿の数がかなり少ない。
比べてみるとじゃらんでは2万件位を扱っているがReluxは1000件ほど。
超高級ホテルや知る人ぞ知るホテルを厳選して紹介。
宿泊施設のミシュランガイドのような予約サイトだ。
Reluxを使って予約するとその宿泊料金の12%が宿から入る。
なぜリクルートを辞めてこの会社を作ったか?
友達からいつもおすすめの宿を聞かれる。
実はリクルート時代じゃらんの企画営業だった。
当時周りからおススメの宿を聞かれることが多かった。
場所は?目的は?予算は?などを聞いて3件くらいおススメを出していた。
ほぼ確実にこれのどれかに決まる。
人が求めているのはたくさんの情報量じゃなくて信頼できる情報の質だったら件数はいらない。
本当におススメの宿だけを紹介すれば当たるかもと予約サイトReluxを始めた。
売上は未公開だが何十億ある。
掲載をお断りすることがあるくらい厳選している。
既に掲載されているホテルでもクオリティが保たれているか定期的にチェックしている。
チェック項目は100個以上で年間100件以上のチェックをしている。
元居たじゃらん(リクルートグループ)には全く怒られない不思議な会社。
実はロコパートナーにリクルートが出資しているということだった。
勤めていた会社も転職者や辞めて社長になった人が案外多かった。
社員に全て任せてしまう社風だったから。
悪くいえば丸投げ。
しかし相応の権限も与えてくれた。
責任者でもなく一介の社員が他の会社でいえば課長、部長が決定する事項まで自己責任で決定することが出来た。
判断力も当然だが誰も助けてくれないので自分で完遂することを新人から叩き込まれる。
だから同業他社に比べて社員の独立性が高かったので会社を興したり別の会社に移って重役や社長になる人も数多く生まれていた。
退職する頃には諸事情ありそんな社風が全く無くなってまさにスタッフサービスのCMのようになってしまい面白味がなくなったのもやめた理由だろう。
それにしてもリクルートはすごい会社だ。
58年間もチャレンジ精神の社風を守って今でも新しい社長を輩出しているのだから。
ママスクエアで思い出したが週休3日の社員を紹介する会社が作れないか考えたことがある。
これまでキャリアウーマンで働いていて産休のために退職した手に職のあるママを募る。
ママさん達を週休3日の正社員として雇ってくれる会社にマッチングする事業だ。
会社の週休3日のうち1日を保母さんとして働いて残り4日を正社員として働き2日休暇を取る。
例えば20人1組でママの中から保母さんを4名選出して無償で20人の子供の面倒を見て残り16名は普通に社員として働く。
保母さんの役割のママも翌日は普通に会社で社員として働き別のママが保母さんになりローテーションで担当する。
週休3日の1日だけ子供の面倒を見れば不足している保母さんを増やせるのではないかと考えた。
場所は人手が足りていない保育園の空いている部屋を間借りすればいいかと。
ママには保母さんの基本的な教育を受けてもらう。
日本で人材の宝庫は若手ママだ。
もう少し人数を増やせば専業の保母さんも混ぜられる。
しかし起業するのにも経験分野がまるで違うのでどうやって始めたらいいのか分からないのでアイディアは只のアイディアのままで終わった。
第一に週4日勤務の正社員化は国でも動かさないと難しいかもしれない。
当時ワーキングシェアという言葉が流行った頃だったが売り手市場の現在では完全に消えてしまった。
それに今世の中を騒がせている関係者が運営していた森友保育園のように正式な保母が足りないと認可でつまずきそう。
しかしママスクエアはその認可すら不要にしているアイディアが凄い。
そしてそれを実現する行動力が一番素晴らしい。
Reluxも情報を逆に減らして信頼ある商品(ここではホテルや旅館)を紹介して手数料を貰うビジネスモデルは他の分野でも流用できそう。
例えば電化製品を家電芸人とコラボして記事を書いてもらい厳選した商品だけをヨドバシ.comで販売するとか。
雑誌「家電批評モノマニア」をタダでネットで閲覧できるように変更してサイト上で褒めている商品をそのまま注文出来てヨドバシなどの流通力で家に届くようにするなんてのもいい。
最近のユーザーはアマゾンの業者のバイトが書いていそうな商品レビューを不満に思っている。
すなわち「世の中の負があるところに大きなチャンスがある」だ。
ポイントは評価の公平さでありメーカーの提灯記事が無いと消費者に鏡張りにする仕組み作りが必要だ。
「家電批評モノマニア」はスポンサー無しで記者が言いたいことをいえる立場なので公平さを維持している(らしい)。
こんなことを考えていると楽しいのだが行動に移すことがどれだけ大変か理解しているので今の安穏とした生活の方がいいや。