RAVPOWERのモバイルバッテリーをたまたま3製品揃えてしまった。
そしてたまたまUSBテスターが手元にあるので放電容量を計測することにした。
スペックに対して放電容量は40%~60%の製品が多い。
リチウムイオンバッテリーの電圧は3.7Vなので給電時に5Vに昇圧している。
1000mAhのバッテリーを5Vで使う場合、
容量を電力換算すると、3.7V x 1000mAh = 3.7Whとなり
5Vに昇圧すると、
3.7W / 5V = 740mAh
従って容量1000mAのリチウムイオンバッテリーをUSBの5Vで給電した場合の放電容量は740mAh(74%)が理論値になる。
しかし昇圧時のロスとケーブルや内部抵抗、バッテリー制御機構の消費などを差し引くと60%超えたら優秀なバッテリーらしい。
スマホなどの機器に充電する場合、バッテリーの電圧は3.7Vなので再度内部で降圧する。
降圧すると先程の逆の計算になる。
だから9000mAhのモバイルバッテリーで3000mAhのスマホであれば理論上3回充電できるはず。
但し先ほどの昇圧時のロスに加えて降圧、内部抵抗、スマホ待機電流のロスなどがあるため理論値通りの充電はできない。
昇圧、降圧なんて余計なロスを発生させるのはUSBの規格が5Vだから仕方がない。
電流だけでなく電力(W)の併用表記の製品もある。
最近は5Vだけではなく急速充電の規格により9V、12V、14V、15Vなどに昇圧しており電流だとわけがわからなくなるので電力表記に統一した方がよさそうだ。
今回はRAVPowerだけではなく手元にあるCheeroのバッテリーや古いPQIバッテリーも併せて計測した。
左上から三角柱のPQI 7800mAh、その下の横広がcheero10000mAh、その右の小さいのがRAVPower6700mhA、さらに右もRAVPowerの10000mAh、黒い筐体がRAVPwoerで20000mAhと並んでいる。
計測方法はUSB TYPE-Cから充電できるノートパソコンのGPD POCKET2でベンチマーク負荷をかけた状態にUSB TYPE-AとTYPE-Cのケーブルで接続して間にUSBテスターを挟んで簡易動画のようにテスターの電源が落ちる(バッテリー供給が途絶える)まで録画して検証した。
急速充電ではなく全て5V充電で統一しケーブルは2.4A対応だ。
最高パフォーマンスでノートパソコンを稼働させ給電したのでどの製品も消費に対して充電が追いつかず少しずつパソコンの内部バッテリーが減っていた。
計測は室温23度前後なので夏に測定していたらもう少し成績が良かったかもしれない。
RAVPower RP-PB060 6700mA
RAVPowerの120gのコンパクトなモバイルバッテリーだ。
グリップのように握ることが出来るサイズになる。
軽いので1年以上カバンに忍ばせており旅行でも活躍している。
購入は2018/5で1年7カ月経過した。
使ったのは旅行が中心でこれまで60~70回の充放電をしている。
結果は3263mAhだった。
74%をMAXとした放電容量比率は16.4Whから49%になる。
購入から2年近く経過しているので仕方ないか。
スマホほど毎日充放電を繰り返していたわけではないが2年あればそれなりにへたるだろう。
電圧は5Vから少しずつ低下していき最後は4.6Vになって落ちた。
このあたりは容量少なめのバッテリーの宿命だ。
電流は最後まで安定して1.8A出力されていた。
RAVPower RP-PB077 10000mAh
購入は2019/12で初回使用のピカピカの新品だ。
10000mAhで重さは193gと最近の製品だと若干重めらしい。
あと面積がデカい。
サイズと重さはちょっと厚めな5.5インチスマホだ。
バッテリーという意識で持つと大きさのせいで意外と軽く感じる。
給電・充電共にQC3.0対応になっている。
結果は6855mAhだった。
放電容量比率が69%あり優秀だ。
電力34.7Whは製品仕様と一致する。
電流・電圧も終始安定してストンと落ちた。
人によると思うが持ち歩きには若干大きいが薄いので鞄なら問題ないか。
PB077は販売終了したようでRAVPOWERの同容量で187gのPD対応モデル
RAVPower RP-PB172 20000mAh
こちらも購入は2019/12で初回使用のピカピカの新品だ。
初期不良があり販売店に交換してもらい受け取った最初の給電だ。
サイズは同社の10000mAhより一回り大きい程度だが重さは倍以上で420gとずっしりしている。
普段持ち運びたいとは思わない。
PDとQCの入出力に対応しているが18Wと控えめなので高出力が必要なMACなどPCへの補助電源に使うのは無理だろう。
同社同容量で45WのPD対応版はPCへ給電したい方、カメラマン、Youtuber、ドローン撮影者あたりは複数でも必要かもしれないがスマホやタブレット程度ならこの18W版で十分だろう
計測は時間がかかりすぎて録画できなかったので落ちる手前の電圧と電流は不明だ。
その代わり積算時間をリセットしたので供給時間は写真の通りだ。
結果は14644mAhだった。
同社10000mAhの2倍以上ある。
74.52Whより放電容量比率74.5%なので理論値以上だ。
中華製では考えにくい容量の過少表記っぽいがとにかく優秀なモバイルバッテリーだ。
小型ノートパソコンのGPD POCKET2でベンチマークを流しっぱなしにして高負荷を与え8時間給電していたのは凄い。
通常使用ならこの倍で内部バッテリーと併用すれば出先で丸一日使えそうな勢いだ。
但しバッテリーが420gあるのでGPD本体の600gと合わせて1kgになってしまうため普通のモバイルノートパソコン持っていった方がよさそうな気もする。
大容量ではモバイルバッテリー側にQCやPDの入力と対応する急速充電器がないと充電時間がかかりすぎて実用に耐えない。
このバッテリーはPDもQCでも充電できる。
自宅に保管して災害時のスマホのなどへの充電用として使えばかなりの日数使えそう。
あと購入時に不良品にあたり、同じ症状で返品したとコメントがあったので不良率もそこそこあるのではないかと推測する。
容量がバカでかいと不良品を掴んだ時にチェックに時間がかかって仕方がない。
この機種に限ったことではないし購入店が迅速に交換をしてくれたので問題なかった。
PB172も販売終了で同容量で45W高出力の398gのモデル
Cheero Power Plus 3 10050mAh
購入は2017/2で2年10カ月経過している。
但しここ2年は先述のRAVPower6700mAhを持ち運んでいたので満充電の状態で放置されており当時旅行もしていなかったので充放電は30~40回以下だろう。
10000mAhとしてコンパクトサイズの192gと当時の平均的な重さだ。
経年劣化だけ考えても実容量は減っているはずと予想したが、
結果は5319mAhだった。
長期間の放置状態で放電容量比率が52%と老舗モバイルバッテリーメーカーの面目躍如といったところだろう。
電圧は5V→4.8Vで電流は落ちるまで一定だった。
電力は前に測った累積をリセットし忘れたので実際は約26Whだ。
使っていた時も優秀だったが自動停止機構が敏感で気がついたら充電が止まっていることがあり使い勝手の問題でRAVPowerの6700mAhに乗り換えた。
これくらいの安全機能が働いた方が安全なのかも。
PQI パワーバンク ABG-100B 7800mAh
実店舗購入のモバイルバッテリーだ。
販売開始は2013/5頃で約2年間通勤カバンに忍ばせていた。
思い出のバッテリーだ。
そして放電状態で約5年押し入れに放置されていた。
PQIの6000mAhの方はもはや充電できなかったがこちらは何とか充電が出来たので6年以上経過したモバイルバッテリーの劣化具合を調査するために参戦してもらった。
旧製品なので出力は5V x 1.5Aだが定格値を超えて1.8A給電できて最終的に1.5Aまで下がった。
そして結果は2906mAhだった。
ネタのつもりだったが放電容量比率が39%残っていた。
7年経ったモバイルバッテリーとしては十分な成績じゃないだろうか。
新品の性能がどうだったかはわからないが、7年前の製品でこの数値なら当時からの技術革新もあり日本で台頭し始めたcheeroやANKERとも戦えたはず。
なぜ台湾のPQIは日本からモバイルバッテリー事業撤退のような状態になってしまったんだろう?
Unigear 5000mAh
カードタイプのモバイルバッテリーが手元にあったので急遽参戦した。
購入は2018/5だ。
現在のSIM2枚運用前はモバイルルーターをメイン回線で使っていた。
WIMAX、イーモバイル、キャリアなどを歴代使ってきた。
写真では古い機種が2個行方不明なので全9機種あったはず。
最近は稼働時間が12時間を超える製品も増えてきたが当時は8時間持てば長い方だった。
しかし8時間だと朝電源を入れて出社すると15時頃にはバッテリーが切れてしまう。
事務所にいるなら充電すればいいが出先でモバイルネットワークが使えなかった。
楕円形のイーモバイルのルーターはバスタブと呼ばれるMUGEN POWERの製品でバッテリーを倍にして使っていたがWIMAXやキャリアのルーターは外部補助電源がないと時間延長できなかった。
そこでルーターを替えるたびにカード型バッテリーを入手しビニールテープで貼り付けて使っていた。
これは写真左下のFUJIWIFIのレンタルモバイルルーターに貼り付けていたカード型バッテリーだ。
重さは120gで見た目はカード型だが4インチスマホサイズだ。
約1年間使っていた。
2200mAhのモバイルルーターに貼りつけて約二倍以上の動作時間を確保できていたので2000mAh以上はありそうだ。
ただ充放電を200回程度繰り返したのでかなりへたっているはずだ。
結果は2670mAhだ。
電力積算をリセットし忘れたので放電容量比率は不明だが予想通りの容量があった。
酷使した割に容量が残っていた。
最後の10%は電圧も電流もふらつきながら粘っていた。
相撲だとねばり腰はいいのだがバッテリーは定格値を下回ったら機器の故障の原因になりかねないのでストンと落ちるべき。
その点このバッテリーは怪しい。
それでも今回計測したモバイルバッテリーの中で1番活躍し感謝している製品だ。
スマホ 冷却 ファン EletecPro 2000mAh
もはやモバイルバッテリーですらないがスマホを冷却しつつ給電も可能な製品だ。
暑い旅行中に充電しながらスマホを使っていると熱が凄いので購入した。
購入は2019/9だがそれ以降使うチャンスはなかったのでほぼ新品だ。
重さは115gと軽い。
結果は1360mAhだ。
67%の放電容量比率で今回計測した中では健闘している。
まあ元が2000mAhなのでモバイルバッテリーとして期待できる容量ではない。
それでも中華無名メーカーですら高性能なバッテリーを積んでいると分かった。
最後に
想像以上にまともなバッテリーしか手元になかったので面白くない結果になった。
ネタになるようなバッテリーがなかったのが残念だ。
それでも何か皆さんの参考になれば計測した甲斐がある。
モバイルバッテリーを最初に購入したのはXP8000Aの旧モデルのEnergizer XP8000が10年前だ。
WIMAX用の丸型ルーターとそれ以前のルーターの補助電源にしていた記憶がある。
10年前は4時間程度しかモバイルルーターが持たなかったので使う時にルーターの電源を入れるという不便な利用法になっていた。
それが嫌だったのでバッテリーをつなげっぱなしで常用していた。
だから自分の場合モバイルバッテリーの歴史はモバイルルーターの補助電源としての歴史になる。
当時モバイルバッテリーなんてXP8000かエネループのUSB出力しか選択肢がなかった。
その後台湾製がPCショップにちらほら並ぶようになり気がついたら中華製で埋め尽くされていた。
容量も出力も増えてサイズもコンパクトになり最近では高速充電も当たり前になっている。
中華製恐ろしい。
電気自動車のバッテリーもパナソニックが頑張っていたが出荷量で寧徳時代新能源科技に抜かれてしまった。。
まさに蓮舫議員の2位じゃダメなんでしょうか?の結果が跳ね返ってきているが彼女が事業仕分けで研究開発費を削減しなくとも遅かれ早かれ追い抜かれていた気もする。