20年度の家計収支が総務省より発表されていたので単身者の支出についてまとめた。
統計局がまとめるのは2人家計でFPがよく記事にしている。
単身者家計はあまり世に出ないデータではないだろうか?
まず2020年を含む過去19年間の単身者の支出の推移から見ていこう。
出典 総務省統計局の過去の単身者で勤労者世帯の家計調査報告より集計
この推移から、
2000年前半にITバブルがはじけ、2006年に一旦底を打ち反騰したが、
リーマンショックで翌2009年に下げて東日本大震災の翌2012年はまた下げている。
2009-2019の10年間の支出は東日本大地震の影響を除きほぼフラットだ。
そして2020年は新型コロナと消費税増税の影響だろう支出が大幅に低下する。
前年比で8.1%下がっている。
ここまで下げているのは過去19年で最悪だ。
長期間外出自粛が続いているためリーマンショックや東日本大震災に比べても個人消費へのインパクトが強く財布の紐が締まっている。
特に2017-2019年は単身者支出も緩やかなインフレ基調に見えたので残念だ。
傾向としてITバブルとリーマンショックの経済的な打撃のケースで支出は下げたまま元までは戻せていない。
一方で天災の東日本大震災後は下げた分を回復していることからコロナ禍が終息すれば支出もV字回復する可能性があるので期待したい。
単身者は養育費などなくシンプルな消費なので年金受給調整に使用されているマクロ経済スライドよりも経済の状況をリニアに映し出しているかも知れない。
2021年度の年金が下がった下がったと騒いで煽っているがたったの0.1%だ。
出典 みずほ総合研究所
その前に連続で上昇しているのも忘れて騒ぐ朝日新聞さんとかw
余程個人支出の方が減っている。
世の中ではデフレ・デフレと叫ばれているが単身者の支出は2010年あたりまで右肩下がりのデフレ状態であったもののそれ以降は下げ止まり横ばいもしくは若干のインフレに転換していた。
次に2020年の単身者の年齢別家計支出だ。
出典 総務省統計局の家計調査を加工
全体の平均、34歳以下、35~59歳、60歳以上(65歳以上も含む)、65歳以上という5つの分類を抽出した。
10代、20代、30代と分けられなかったのはこの世代は平日昼間に自宅ににいる機会も少ないだろうしアンケートに答えてくれる人が少なかったのでサンプル数が足りず34歳以下でまとめてしまっているようだ。
支出平均は前述の19年間の推移でも分かる通り15万円と昨年に比べるとコロナや消費税増税の影響で下がっている。
65歳以上が13万円台なのは理解できるが34歳以下が15万円を切っているのが辛い。
35歳以下単身者といえばかつては独身貴族と呼ばれて少子化対策に貢献しない代わりに経済を回すためだけに存在してくれている人達だった。
それがこの状況なので将来への不安から貯蓄に回っているようだ。
例えば2000万円問題を悲壮的に取り上げて視聴率欲しさに将来不安を煽るだけ煽って経済を疲弊させているマスコミにも責任の一端がある。
10万円給付金は多くが貯蓄、携帯料金値下げで平均4万円の支出減もその使い道について多くが貯蓄に回したいというアンケート結果を報じていた。
2000年以前統計データがあれば34歳以下独身者の支出の推移もチェックしたいところだ。
自分と周りの記憶から当時の支出は最低でも20万円以上でアパート暮らしなら30万円は使って貯蓄なんて概念すら無かったんじゃないか。
この単身者年齢別の統計データが食費、光熱費、交通・通信費などそれぞれの家計支出が平均より高いか低いか高ければ少し見直してみようというきっかけにでもなればいい。
何にせよ家計簿をつけていないと比較しようもないのでスマホアプリなどで3月からでも構わないので始めた方がいい。
ちなみに自身も家計簿をつけているので2020年の月平均支出と比較してみたい。
本来は35~59歳のカテゴリーなのだがリタイヤしていることから消費特性が近いはずの60歳以上と比較することにした。
つけている家計簿の項目と異なるので合わせるのに苦労するがなんとかそれらしくなった。
こうやって比較すると贅沢な生活を送っている?
家計簿で贅沢費と実質生活費(一般会計)と分けて算出しており実質生活費については13万円台なので問題ないと考えている。
まず食費が60歳以上平均を下回っていたのは素直にうれしい。
もう少し詳細に見ると60歳以上男性が40,762円で女性が36,270円なのでおそらく女性の方が自炊率が高いのだろう。
その女性の36270円よりも下回っていた。
住居費はマンション所有している自分ですら管理費やら積立金などで2万円以上コストがかかっているのに対して60歳以上平均が1.3万円で済んでいるのかよく分からない。
ほとんどが一軒家か子供との同居で0円が多いのだろうか?
もしくは老人ホームで前払い済みもいるのか。
35~59歳の住居費は24,810円なので自身の26,669円に近い値だ。
この世代は持ち家とマンションが多いのだろう。
そして34歳以下の37,863円は親との同居、賃貸アパート、自宅購入を平均にするといい数字ではないかと考える。
ちなみにこのデータは家計支出なので住居購入などの借金返済は含まれていない。
光熱費は平均とほぼ同じ。
この家計の統計データにはNHK受信料が見当たらないのでその費用を差し引けば平均より若干低い支出となる。
寒いのも暑いのも嫌いなので自宅に居る夏冬はエアコンをつけているが60歳以上も案外似たような生活をおくっているのだろう。
もちろん都市ガスとプロパンで数倍の価格差があるし水道代も地域差が大きいので高い地域は不利になる。
あと医療費に関しては平均より高い。
自身が病気がちなのも否めない。
クリニックでは嫌がられるが処方箋の量を増やして通院回数を減らしていく必要がありそうだ。
但し一定数後期高齢者の医療費1割や今後は2割負担者が存在するのでこの人達が医療費支出を引き下げているのだろう。
医療費そのものは赤ちゃんであろうがお年寄りであろうが同じなので自己負担以外は国費となる。
我々の世代が60歳を越えた頃には後期高齢者も亡くなっていき医療費支出平均は上昇していると予想できる。
交通・通信についてはざっくりまとめすぎなのと60歳以上と比較するのは辛いので35~59歳の平均も加えて詳しく見てみる。
自分の住処は田舎なのでどうしても公共交通機関よりクルマ頼りになる。
クルマ代だけみると保有していない人を含む平均より高いのは仕方がない。
それでも交通費とクルマ代の合計が現役世代より低いのは嬉しい。
ただ通信費は明らかに使いすぎだ。
スマホSIMの2枚挿しをやめてahamoかpovoかLINEMOか価格競争が激しくなるMVNOの1枚に乗り換える予定なのであくまで現役世代であるがその平均値までは下がりそうだ。
教養娯楽とその他消費支出の合計で比較すると
60歳以上が45612円に対して66335円なので2万円ほど高い。
これは60代以上の主にリタイヤした方々の平均的な趣味にかかる費用に比べて40%以上多く使っていることになる。
でも贅沢費の旅行については想定範囲なので問題ない。
一通り確認してやはり60歳以上の住居費平均が気になる。
1.3万円で国内に住むのは無理なので独身者のアパート暮らしなら自分の支出19万円に近くなりそうだ。
この統計データは単身者の家計の振り返りの参考になる。
他人の振り見て我が振り直せ、いい格言だ。