我が家には工具箱がある。
ドライバーやレンチ類、カナヅチ、電動ドリル、ヤスリ、接着剤、ハンダゴテが入っている。
一般的なご家庭にも1セットくらいはドライバーやレンチの工具箱はあるだろう。
たまにどうしてもあると助かると思うのがグラインダーだ。
円形の砥石が高回転でぐるぐる回ってそれに当てると削れるやつ。
(素人っぽいw)
このサイズは置く場所に困るがハンドグラインダーならそれほど大きくもないし価格もそれほどではない。
ただ使いたい頻度が年に数回なので実際に購入には至らない。
最近は3Dプリンターを買って印刷物の精度がイマイチであと少し削れたら作り直さなくて済むのにというケースが多い。
手動のヤスリで削ってみたがフィラメントとして使っているPLAの材質が思った以上に硬くてほとんど削れない。
一方で作る気もないプラモの動画や直す気もないジャンク修理の動画にハマっていてある時に両者でミニルーター(リューター)でプラスティックを削っている動画を見つけた。
ミニルーターとは小さな電動ドリルの先端に砥石をくっつけたような構造でガリガリと金属やプラスティックや木材が削れる。
これならPLA削るのにも使えそうじゃない?
修理の動画で出てきたミニルーターを作っているタックライフはモバイルバッテリーを作っている中国企業のAUKEY傘下のブランドらしい。
価格は4千円台といってた。
欲しい!と探してみたがこの製品はネット通販サイトではもう販売していなかった。
一昨年当たりに大量に売ったようだがどこにも無い。
中華製品の新陳代謝の早いこと。
もう少し探すとミニルーターには国産製で電気工具の老舗のキソパワーツールのプロクソンとかアメリカBOSCHブランドのドレメルなどが存在してそれらのコピー品の中華製が普及しているようだ。
国産で評価が高い製品は1万円台から2万円台が価格帯だ。
一方でタックライフは4千円台だ。
プラモデルで加工や合わせ目消しなんてことをするわけでも彫刻加工が趣味で繊細な細工をするわけでも今後修理を生業とするわけも無い。
滅多に使わない工具だから国産じゃなく安いのでいい。
タックライフっぽい電源コードあり交流で強力なモーター使っている中華ミニルーターないかと探してみると現時点ではこの2つがある。
右の安い方の形状がタックライフのミニルーターに酷似しているのであまり考えずにポチった。
おそらくタックライフも元々はドレメルか何かオリジナル製品からのコピーモノだろう。
この商品はそのコピーモノの更にコピー商品なのだろう。
権利や特許無視でコピーのコピーのコピーと作られてオリジナルの欠片もなくなっていくのが中華製品の基礎だ。
早速届いて開封した。
ケースに入って色々付属していてこのお値段は安い。
本体も3千円とは思えないほど筐体はしっかりしているし、
ここにマキタとでも書いてあったら本物と見間違えるカラーリングだ。
但し最初の写真のペンのように持てるミニルーターではないし重量もある。
先端を延長させるフレキシブルドライバーもついているし、
ビットもこの値段にしては充実している。
ハンドグリップと先端カバーもついている。
タックライフはこの数倍のビットが付属していたが千円以上高いので仕方がない。
問題なのはシャフトガチャだ。
中華製ミニルーターは品質管理がいい加減で軸がずれているのが多いらしい。
外れを引くとビット(先端)が暴れて加工しずらい。
ズレが分かりやすそうなドリル刃をつけてどの程度ずれているがチェックした。
このミニルーターはビット取り付け時にシャフトロックボタンを押しながらねじ込むタイプだ。
さて先端は…
これはひどい。
ブッレブレでガンダムF91やゲッターライガーの分身の術のよう。
こんなの使ったらモノに当てた瞬間に先端のビットが飛んで顔に刺さりそうで怖い。
これは使えないだろ〜
と色々チェックしてみるとモーターに直結しているシャフトそのものは綺麗な真円を描いて回っている。
考えてみればモーターからベアリング通りシャフトがブレるような構造にする方が高度な技術だ。
じゃあ一体どこがズレているんだと確認していくとシャフトにビット軸を固定するコレットチャックというパーツの軸を受ける穴のズレまたは十字切り欠きのズレが原因のようだ。
中国の工場でこういう機械精度を出すのは無理なのだろう。
日本の部品が売れるのがわかる。
当初一番左のステンレス製らしきコレットチャックが付いていたのをそのまま使っていたが同じΦの真鍮製にはめ替えて再度試したらブレがかなり減った。
手持ちの日本製のドリルほどでは無いがギリ使えそう。
真鍮は柔らかいので加工もしやすく精度も出るのかな?
他の安いミニルーターでもシャフトがブレている可能性は低いと思われるので中華製のコレットガチャにハズレて軸ブレガーと諦めた人も手持ちのミニルーター合う品質の良さげな互換コレット探して試してみるといいかも。
プロクソンやドレメルもコレット単品で販売しているので手持ちのミニルーターに合うなら日本製造やアメリカ製造は買いだろう。
そもそも本気で使いたいならプロクソンやドレメルなどちゃんとしたミニルーターを買った方がいい。
実際に3Dプリンターで印刷したPLA素材を砥石のビットを取り付けて削ってみた。
削っているというより摩擦熱で溶かしている感じだ。
ABSは融解温度が高いためか摩擦ではなくミニルーターで加工しているような動画が見つかるがPLAの加工動画は無かったので難しいかも知れない。
次はゴムにサンドペーパーを巻きつけたサンディングドラムをフレキシブルドライバーに装着して削ってみた。
延長した先端でも普通に削れた。
フレキシブルドライバーにはシャフトロックボタンがないのでレンチのようなツールを横の穴に差し込んでビットを締め込む。
砥石と削れる速度はあまり変わらずこちらの方が幾分綺麗に削れるか?
猫の首あたりに作ったサポートとリボンがグチャグチャになってしまった部位を綺麗にしようとサンドペーパーかけてみた。
ぐるぐる巻きにした紙が剥がれてくる感じで仕上がりは美しくない。
そもそも積層したPLAは加工に向いていないのかも、残念。
次は壁や床面に電源コードやLANを家庭で敷設する時に使うケーブルモールを切る。
このケーブルモールは大型ハサミやニッパーで切ると潰れて使いずらくなる。
マンドレルにダイヤモンドカッターを固定して切ってみた。
回転速度1だと刃が引っかかり止まってしまうので3で切った。
スパッと切れるんだけど溝ができるまで刃が暴れるので少し間違えると指もスパッと切り落としそうで怖い。
ダイヤモンドカッターを使うのは当面やめて作業机なり環境を整えられたら考えよう。
次はドリルで穴あけだ。
以前3Dプリンターで作った電動歯ブラシスタンドに水抜き穴を開けた。
刃先が安物のせいか中々食い込んでいかない。
グッと押したらズボッと刺さる感じで穴が空いた。
インフィルはデフォルトで中は空洞のスカスカなので仕方がないがちょっと怖いな。
回転遅くトルクがある電動ドライバー兼ドリルを持っているので穴あけは専用工具でやった方がよさそう。
そしてミニルーターを買うと誰もが試したがるであろう硬貨磨きをやってみた。
付属していた茶色いワックスのようなものが磨き粉だと思ったのでそれをフェルトバフにくっつけて磨く。
少しあてるだけでピカピカに磨ける。
最後に我が家の置物の中で最大の経験値を誇るはぐれメタルも磨いてあげた。
研磨剤に使ったのはバフにダイソーで売っていた青棒を付着させて研磨する。
頭のあたりは鏡面仕上げになっているのがわかるだろうか?
はぐメタの向かって右側を中心に磨いた。
ただ作業台もなく周りに鉄粉飛び散るのが嫌で極短時間磨いた。
プラスティックや木材のカスなら終わったら掃除機で吸えばいいが鉄粉は掃除機が壊れそう。
普通のプラスティック加工とか金属磨きに使えそう。
あとはタングステンの超硬バーとか削るのに特化したビット(先端)を探しておこう。
それと何か本格的に加工するなら作業台が欲しくなってくる。