デッサン人形、それは自分の中で一生関係ないモノのはずだった。
デッサン人形とは、
デッサン人形は、人体を立体的にとらえることができるため、関節や筋肉の構造、体の比率、影の付き方を理解しながらデッサンできることがメリットです。また、静止で観察可能なデッサン人形は、実際の人間をモデルにするよりも可動フィギュアに自分のイメージしたポーズ人形を描写することができるので、絵を描く人にとっては欠かせないツールです。
デッサン人形は、木製タイプ、リアルに再現されたドールタイプ、つなぎ目が少ないシームレスタイプなど種類が豊富です。
例えば猫の絵を描かせたらこの程度だw
一方デッサン人形とは人物の描写力の向上のために必要な人形だ。
最低限の絵が描けないと入手したところで意味がない。
自分と対極にある縁遠いモノだった。
しかし現在の技術のAIお絵描きソフトのstable diffusionで自分の絵を変換するとこうなる。
これならば使えるとデッサン人形が欲しくなった。
自分で描かなくてもデッサン人形でstable diffusionで生成する写真中の人物にポーズをつけられる。
stable diffusionは単語をプロンプトに書き込みディープラーニングしたモデルを元にノイズから絵や写真を生成する。
単語を元にするので思い通りな絵が完成しない。
何が出てくるかわからないガチャガチャ感がワクワクして楽しい一面もあるが作品として捉えた時にユーザーの介入が少なすぎて人工知能だけで製作したガチャ絵でしかない。
そこで、人の介入を強化するために生み出された拡張機能がcontrolnetだ。
その中にcannyとopenposeという機能がある。
cannyは絵や写真から輪郭を切り出す。
それを生成する絵に反映させることができる。
分かりにくいので実際にぱたくそさんからお借りした女性の写真を参考に作ってみよう。
例えばこのような左右両手の指で横を指しているポーズを頭でイメージして作りたいと考えたとする。
下記のようにプロンプトを作って生成させても
1girl,point to next to her with both index fingers,office lady
なかなかイメージ通りのポーズを取ってくれない。
いくつか別のシーンで使えそうと思ったりするがイメージの再現は程遠い。
下段左隅あたりで妥協することになる。
そこで修飾する単語を増やし強弱を変えて駆使することになるがやはり単語で指示するのは限界がある。
Cannyはキャプチャーしたイメージの輪郭を作ってくれる。
写真を分解して版画のようなものを作り出す。
この輪郭画をベースに生成すれば同じポーズの別の絵ができるわけだ。
プロンプトとパラメータの調整は必要だがほぼ確実に同じポーズを再現できる。
但しこれはイメージした写真や絵がないと作れない。
あと元絵とできるだけ近いポーズを再現するとウェイトを上げる必要があるので細部までも元絵の影響を受ける。
もうひとつのOPEN POSEは写真や絵のポーズを分析して棒人間を生成する。
作った棒人間をベースに似たようなポーズが生成できる。
OPEN POSEには棒人間編集機能もあるので自分で棒人間のポーズを作って絵を生成することもできるのでイメージ写真や絵を探す必要はないのがメリットだ。
所詮は棒人間なのであまり細かいポーズを作るのは難しい。
最近は顔の表情をコピーするface機能も追加されたが今回の主旨とは違うので割愛する。
ポーズについては先人の知恵で漫画や絵を描く方がデッサンやトレーシングで利用する3Dデッサンソフトを使ってポーズを作る方法がある。
これはデザインドールの無料版を使って走っているポージングを作りstable diffusionに取り込んで街を疾走するシーンを完成させた。
デザインドールはポーズが決まればそれをスクショしてstable diffusionのcanny機能にコピペして生成すればいいので作業としては10秒以下だ。
この拡張機能を使うまではモデルに学習されていないポーズやシチュエーションは別のポーズや状態の単語をいくつか組み合わせてそれらしく見せていた。
例えばマラソンのシーンが作りたくてランニングと入力しても軽快に走っているシーンしかできないのでプロンプトにはシャワーを浴びている女性に服を着せて風で髪をなびかせて口を開けて顔に痛みの表情をしているシーンで代用した。
使いこなすには単語を駆使する必要があった。
それがポーズの画像を取り込めばいいとかある種の反則技だ。
しかし難点はこの3Dポーズソフトの操作が面倒だった。
3Dプリンターを使うためにFreeCADに慣れておりこのソフトと微妙に操作が違うのでポーズを作っているとイライラしてくる。
有料版は試していないが他の無料やお試しソフトも似たようなモノで思った以上にポーズを決めるのは大変だ。
その中でもまだデザインドールというソフトはマシで本体と影のモデルで動作を使い分けて時間をかければ思い描いたポーズができる。
原始的で確実なのが人間が自分でポーズを作って写真に撮りそれをベースに生成すること。
ググるとやっている方がちらほらいる。
我が家はiPhone→iCloud→iPad→NAS→PCと写真を自動連携する環境になっているのでiPhoneで写真を撮ればPCで即使える。
(ややこしいことを言ってるがiPhone→iCloud→PCの連携でも同じ)
ただ自分をモデルにするのは面倒で小っ恥ずかしいし走っているポーズなどは難しい。
そこでふと思い出したのが最初の写真の木製デッサン人形だ。
美大生とか漫画家がデッサンの練習のために使用する人形になる。
自分ではなくデッサン人形を撮影して読み込ませればいい。
ダイソーで330円のデッサン人形があると知り探し回ったが近所には需要がないのか在庫がない。
そこでアマゾンで検索する。
デッサン人形は主に4種ある。
まずは最初の写真のような昔ながらの木製人形だ。
そこそこ安くて壊れにくそう。
サイズも大きめ。
デッサン人形といえば大抵の人がこれを思い浮かべる。
ただ関節の可動域には限界がある。
次がアクションフィギュアから派生したバンダイのボディくんやボディちゃんとそのバッタもの商品達だ。
これもデッサン人形として開発された商品になりサイズは小さめで可動域が人間に近いのでポージングとしてはこれが理想だ。
しかし正規品は7000円程度する。
そのため中華バッタモノも出回っている。
もうひとつがシリコンボディのアクションフィギュアだ。
女性のセクシーショットではない。
ほとんど裸のシリコンフィギュアしか無いので服を着ているのを見つけるのが大変だった。
可動域はボディくんほどではないらしいがシリコンのおかげで艶かしい身体なので特定のデッサンにはこちらの方が向いているかも。
海外製で1万円以上が相場になる。
インテリアとして考慮すればシリコンフィギュアが世の男性のベストのデッサン人形の気もするw
そして最後はオビツドールを筆頭にしたソフビのお人形だ。
低価格帯では2〜3千円で販売されている。
球体関節なのでポーズの自由度は高そう。
これもデッサンする方には人気がある。
ただ安くても2千円以上するし、いい製品を買おうとすると5千円は必要だ。
どれだけ使うかわからないのでそこまで出すのはもったいない。
そこでふと手持ちの3Dプリンタでデッサン人形が作れないか3Dデータを探すとアクションフィギュアの無料データがいくつかあった。
最初はボディちゃんをパクったようなデザインのアクションフィギュアを印刷しようとチェックすると約70点のパーツで構成されているので諦めた。
我が家の格安3Dプリンターでそんな精密なプラモは作れない。
そこで点数が少なくて棒人間のようなフィギュアを見つけて印刷して組み立ててみた。
Open Poseはまさに棒人間なので親和性が高そう。
しかしこれでも精度が厳しい。
関節部が固いのでハマらないとヤスリで少し削ると今度はあっという間にグラグラで自立不可になる。
精度はギリOKでもPLAという素材がアクションフィギュアには向いていないか?
ペットボトルに使用されているPETG素材を使えばうまくいきそうな気もする。
しかしそのためにフィラメント1本買うくらいなら最安の人形を買おう。
色々探してオビツドール系のバッタモノ商品を購入した。
買った直後にイージーポーザーのPC版がデッサン界隈で安くて使い勝手が秀逸という情報を得て1299円出してSteamで買ってみた。
スマホ版はお手軽に使えて約1200万ダウンロードされている人気アプリだが課金制なので買い切りのPC版がいいようだ。
体験版があればよかったが仕方がない。
このソフトも操作は他の3Dポーズソフトと大差はない。
ポーズを作る操作はやはり面倒だ。
しかし素晴らしいのがプリセットの数だ。
かなりの数のポーズが揃っている。
プリセットからさせたいポーズに近いのを選んであとは微調整をすればいい。
刀や銃など付属品も大量にあるので何かを持たせてそのまま取り込むのもありだ。
画像もカメラボタン一発で特定フォルダにできるので開いて範囲指定でコピペすればいい。
これなら手間はかからない。
イージーポーザーを初回起動して数分でポーズをつけsamurai suit(侍着)など単語で修飾してかっこよい戦国時代の女性剣士の絵ができた。
こういう構図は単語並べても絶対完成しないので捗るぞ。
到着したデッサン人形の方も想像よりまともだった。
まさか四股が踏めるとは思わなかった。
足首まで回る。
ただ首と腰が動かないのと前屈が90度までなので価格なりの製品か。
あと頭がない。
そのまま写真にしてstable diffusionに取り込むと10頭身になり気持ちが悪い。
そこで百均で紙軽粘土ならぬ木かるねんどでヘッドをつけてみた。
すると顔が描かれていないのっぺらぼうなので後頭部と勘違いして生成すると後ろを向いてしまうw
プロンプトで強力に前向け!と指示するかウェイトを下げれば前を向く。
そこで頭部の3Dデータを見つけてblenderで首落として胴体がドッキングできる穴を開けて専用の頭部を作って3Dプリンターで印刷した。
まだ細かい調整が必要なのでいずれくっつけたい。
格安デッサン人形とイージーポーザーと木かるねんどで2100円だ。
ポージングをイメージするのは実物の人形を捏ねくり回した方が考えやすい。
一方でポージング集のようなプリセットを持つイージーポーザーはそこからイメージを捕まえ易いので2つを併用していこう。
結果として悪くない買い物だった。
趣味の世界から派生して全く知らない世界を知るのは面白い。