2024年の夏に財政検証が行われた。
実質成長率が想定する最悪の値の-0.7%であったとしても所得代替率が50%を超えるため年金支払い期間や受給開始の年齢引き上げなどの変更は見送った。
テレビなどで叫ばれていた年金受給年齢の強制引き上げは無くなったわけだ。
財政検証は通例として5年に1回年金制度の見直しとして開催される。
そして2024年が開催年だ。
今回は経済状況が悪くても給与の所得の半分を年金で支給できそうなあんばいなので納付額を上げたり支給開始年を遅らせる対応はせずこれまで通りの制度を続けることが確定した。
予想では改定があるのではないかとテレビなどでも取り上げていたようだが積立年金の投資先の株価が上昇したり外国人労働者が増加した点などが考慮されて基準の所得代替率50%を超えたと考えられる。
6〜7月に行われた公的年金の財政検証だが、もし8〜9月開催だと株価暴落で年金による株式投資も一旦は大幅に目減りしたので検討メンバーがビビって何らかの方針変更があったかもしれない。
年内に自民党総裁選と国政選挙があると考えられているのでただでさえ政権の支持率が低迷しているのに対象になりそうな年代を敵にしてまでやりたくはなかったのだろう。
-0.7%の下限の実質経済成長率や物価が上昇しているのに50%の支給では生活できないので年金の改定をしないのは楽観的すぎるという専門家の声もある。
このあたりからも無理やり理由をつけてやめてしまった印象を受ける。
ただそれでも退職に近い年代にとって40年支払いが45年支払いに変更されず据え置きでよかったとホッとしている方々も多いはず。
しかし次の財政検証は2029年には実施されるはずだ。
物価が上がれば上がったで物価高騰前の所得に対する50%では足りないだろうし、万が一GDP成長率が低ければ70歳引き上げは待ったなしだろう。
年金改正が国会を通り発布されるのが翌年の2030年とキリ番な年度なのも過去の事例から有力だ。
2029年の財政検証で改定が決まり翌年2030年の国会で法制化されると想定するとその時点で何年生まれが対象、線引きになるかが皆さんの関心だろう。
こういう時は過去の事例が大切だ。
(chatgpt4ominiに前回の年金制度改定が発表されて何年生まれで線引きされたかを聞いてみたが無茶苦茶だったので厚労省のページで調べ直した。)
前回の年金法改正は2000年に60歳受給から65歳受給に改定された。
2000年当時の年齢で、
男性は39歳から47歳(1953〜1961年生まれ)が2歳の幅で段階的に1年ずつ61歳、62歳、63歳、64歳、65歳に引き上げられた。
女性は34歳から42歳(1958〜1966年生まれ)だった。
そう考えるとひとつの可能性は2030年時点で、
男性が39歳から47歳(1983〜1991年生まれ)
女性は34歳から42歳(1988〜1996年生まれ)
が段階的に5年後ろ倒しなる案だ。
ただ前回は60歳→65歳、次回は65歳→70歳という改定の可能性が高いので最大限の影響を受ける最少年齢が20年後の受給を25年後に引き上げられたと考えると5歳ズレて2030年時点で
男性が44歳から52歳(1978〜1986年生まれ)
女性は39歳から47歳(1983〜1991年生まれ)
の間で段階的に年金改定される可能性がある。
2000年の年金改定からこの案が有力になりそうだ。
※女性の5年遅れ受給がこの世代に影響なければ男性と同じになる。
もし2024年の財政検証で引き上げが決まっていたら2025年時点で、
男性が44歳から52歳(1973〜1981年生まれ)
女性は39歳から47歳(1978〜1986年生まれ)
が影響を受けた可能性もある。
次回の財政検証が5年を待たず開催されたり、積み立て年金の投資先が爆下げや次の総理の経済政策大失敗などで更に上の世代で改悪されるかも知れない。
だから男性1978年生まれ、女性1983年生まれ以前の方でも予断は許さない。
特に取り上げた年代生まれの方々は5年延長してしまう可能性が高いと覚悟して、給付額が今の年金定期便の想定より下がろうが65歳繰り上げ受給をするとか、仕方がないので自己投資して70歳まで働くかとか、今以上に積み立て投資や貯蓄を頑張るかとか、持ち家の方でデメリットもあるリバースモーゲージを利用するかとか、子供にカネ儲けの英才教育を施して養ってもらうとか、リタイアの計画をされた方がいい。
若者はコスパやタイパが好きなので自己投資して技能を増やして70歳まで働くという結論になりそう。
他は運と条件が必要なのでコスパもタイパも悪い。