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長い間喉に突き刺さっていた小骨が取れた気持ち

大昔に耳にした、かすかな記憶の中のマイナー曲。

曲名もわからず、探し出す術もなかった。

しかし、それはいつも心の片隅に引っかかっていて、彼女をテレビで観ると断片的なフレーズが蘇る。

子供の頃、ロボットアニメ好きでもアニメ雑誌を買うほどではなく、主な情報源は口コミとラジオだった。

当時、アニメ専門のラジオ番組があり、そこで流れた曲が戸田恵子さんの歌だったのだ。

戸田さんといえば、『機動戦士ガンダム』のマチルダや『伝説巨神イデオン』のカララの声の人というイメージが強い。

このラジオを聴いていたのも映画版イデオンの情報収集だったと記憶している。

そしてアンパンマンの声優として知られるのももっと後のこと。

さらに彼女がドラマでメジャーデビューするのもずっと先だ。

杏里さんの『キャッツ・アイ』が一般ヒットするよりも前の話だ。

アニソンは、「ゼーーーット!」の水木のアニキとか「ボ・ル・テ・ス・ファイブが🎵」のミッチなど、アニメ専業歌手が歌うものと相場が決まっていた。

当時、声優が歌を歌うことは珍しく、戸田さんのような本格的な声優が歌謡曲を歌うとは思いもしなかった。※

※この少し前の世代に声優で作ったスラップスティックが大人気だったりというのは知らなかったし、デスラーの伊武雅刀さんがスネークマンショーをやっていたのは小学校でも話題になったが歌手という意識がなかった。

ましてや、彼女が声優になる前に歌手デビューしていたなんて、当時はWikiどころかインターネットもなかった時代で知る由もない。

そんな戸田さんの歌がラジオで流れたのを記憶しつつ、アニメからは遠ざかる日々。

そんなことを忘れかけた頃、田村正和主演のドラマ『総理と呼ばないで』で戸田さんが官邸秘書役として登場した。

その時、「あの曲の人だ!」と思い出した。

歌詞はこんな感じだった。

「東の風 傘 ブランカベイベー、強くって燃えてる女、XXXXXX、私はブラッディレディ」

まるで意味不明なフレーズだが、なぜかずっと記憶の片隅に残っていた。

しかし、そもそも歌詞が正しいかどうかも分からない。

とうの昔に廃盤になっているのだろうし、本当に戸田さんが歌っていた曲なのかすら怪しくなってくる。

Wikiが登場して彼女の楽曲リストを調べても、それらしい楽曲は見当たらない。

インターネットが普及して憶えている歌詞を検索しても何も出ない。

Spotifyなどが一般化して探してみても見つからない。

デビュー当時の「あゆ朱美」という別名義の曲かとも思って探したが、曲調が全く違う。

彼女をテレビで観るようになってから30年近く経ち、月日は流れその歯痒い気持ちも徐々に薄れていく。

しかし、つい先日、彼女の舞台のニュースを目にして「戸田恵子 アルバム」とふとYoutubeで検索してみたところ、『ソフトドリンク』というアルバムを発見!

その2曲目、『甘い罠』に、記憶のフレーズが蘇ったのだ。

「うわあああ、これだああああ!」

テンションが一気に爆上がり!

あの大昔、安物のスピーカーのラジオから流れた曲が、まるでタイムカプセルのように耳に戻ってきた瞬間だった。

もちろん、今も変わらぬ声で活躍されるベテラン戸田さんは素晴らしい女優であり声優だと思う。

ファンでもないが、この曲は喉に刺さった小骨のような存在だった。

そして、その小骨がついに取れたのだ。

今思えば「甘くはないよ、甘くないない」のフレーズを記憶していたら「甘い罠」というタイトルで連想できたかもしれない。

見つけられたのはYouTubeにアップされていた動画のおかげ。

4年前にアップされ、再生回数はわずか838回。

その動画を消さずに残してくれていたウプ主さんには感謝しかない。

もちろん心を込めて「いいね」をした。

皆さんも、もし似たようにかつて探せなかった曲や番組、思い出せない有名人などを、ネットやAIを駆使して探してみてほしい。

もしかすると情報が溢れている今なら見つかるかもしれない。

それはまさに「小骨が取れた」ような心地よさで、ある意味では人生の整理、終活の一環とも言えるだろう。

そして、何気なく持っている古い動画や音楽が、誰かの大切な思い出を呼び起こすこともある。

著作権や個人情報保護には気をつけつつ、ぜひ Youtubeなどで共有してほしい。

最後に戸田恵子さんの経歴を調べていてこの動画が彼女についてよくわかるので興味のある方はぜひ。

今年にキャッツアイvsルパン三世のアニメをアマゾンプライムビデオで観て大昔と変わらぬ艶のある声質で驚いたけれど常に自分に投資しているすごい人だと分かった。

Categories: その他
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