最初にこのCMを観たとき、「これのどこが性的なんだ?」と正直驚いた。
だが、SNSを覗くと、例の界隈から「性的搾取だ!」という批判の声が飛び交い、それに対する反論動画まで乱立。
結果的に「このCMのどこが問題なんだ?」という意見がネットを埋め尽くす形になった。
しかし、少々調べると、X公式にてこのCMを本気で批判しているアカウントはごくわずかで、「大炎上」と呼べるほどの騒ぎではなかったという分析もあった。
つまり、極一部の批判コメントをかき集め、「炎上」という形で拡散し、メディアがさらに燃料を投下してニュース化した可能性が高い。
今後、おそらくどこかの大学教授やデータ分析を得意とする学者が、「炎上が認識された時点に遡って実際にどの程度の批判があったのか?」を数値化するだろう。
そして、そのデータを見たとき、「あれ? 炎上してなくね?」となるのは目に見えている。
「炎上商法」の可能性
こうなると、そもそも今回の騒動が「意図的に仕掛けられた」ものではないか? という疑念も湧いてくる。
日本社会は今、経済の停滞や物価高などで国民の不満が溜まる一方。
その原因の一端に左派的な政策やポリコレやフェミニズムの過剰な介入にもある。
オールドメディアは無視を続けるがその不満がマグマのように地下やネット界隈で蓄積を続けている可能性がある。
となれば、「フェミを叩く流れを利用すれば、CMはより拡散される」と考えるマーケティング戦略があっても不思議ではない。
「俺はこんなCMよりアンミカのCMの方が気持ち悪い」なんてその手の動画にコメントしている奴らはまんまと引っかかっているわけだ。
広告の世界では、いかに安いコストで話題を作り、CMを広めるかが重要だ。
その点、この「炎上」は大成功といえる。
CMの放送枠に大金を投じなくても、SNS上で勝手に議論が拡散され、赤いきつねの知名度がさらに向上したのだから。
そして消費者は気分よく赤いきつねをコンビニやスーパーで買って売り上げに貢献する。
この売り上げに貢献する人々の心理状況を分析すると
1. 自己正当化バイアス(Self-Justification Bias)
「このCMのどこが問題なんだ?」と感じた人が、それを肯定する行動を取りたくなる心理。批判を「理不尽なポリコレ」と捉えた人は、「反ポリコレ」の姿勢を示すために、意識的・無意識的に赤いきつねを購入する可能性がある。
2. ブーメラン効果(Boomerang Effect)
人は強制的に何かを押し付けられると、逆に反発して逆の行動を取る傾向がある。この場合、「このCMは性的搾取だ!」という批判が「いや、むしろ応援したくなる」という逆の効果を生み、購入行動につながる。
3. 社会的アイデンティティ理論(Social Identity Theory)
「フェミ vs 反フェミ」の構図が生まれたことで、「自分はどちら側なのか?」という意識が強化される。SNSでこのCMを擁護する人たちは、自己の立場を明確にするために、その行動の延長として赤いきつねを買う可能性がある。
4. 流行追従行動(Bandwagon Effect)
「炎上したCMを見た」「ネットで話題になっている」というだけで、無意識に赤いきつねのことを考える機会が増え、実際に店で目にした際に「せっかくだから買うか」となる。
5. 単純接触効果(Mere Exposure Effect)
CMの内容とは関係なく、何度も目にすることで赤いきつねへの親しみが増し、購買意欲が高まる。特に「炎上商法」的な拡散は、この効果をより強く引き出す。
この5つの行動心理を利用している可能性がある。
心理学とマーケティングは非常に密接に関係があり研究も進んでいる。
どの広告代理店が仕掛けたのかは知らないが、もし意図的な戦略だったとすれば、なかなかのやり手だ。
AIを活用した「炎上回避」の必要性
とはいえ、こういった「不必要な炎上」が続くと、企業にとっても面倒だ。
これからはAIを活用し、広告がどういう層にどんな反応を引き起こすかを事前にシミュレーションし、無駄な騒動を避けることが求められる。
個人的には、赤いきつねは大好きで先週も食べたばかりだが、こういう「意図的なのか偶発的なのかよく分からない炎上」が続くのは、正直、うんざりする。