現在、日本の政局では保守勢力が分裂し、「保守の空白地帯」が生じている。
この状況を打破するためには、いくつかの現実的なアプローチが考えられる。ここでは、国民民主党の右派シフト、自民党内の保守派の結集、超党派の政策連携、そして最終的な2大政党制の構築という4つの戦略を整理し、日本の政治構造の未来を展望する。
① 国民民主党の右派シフト——「安倍政権時代の自民党」に近づく
現在、国民民主党は経済や安全保障に関しては保守的だが、内政面ではリベラルな政策も多い。これは、国民民主が元々立憲民主党から分裂し、労働組合(連合)の支持を受けているためである。しかし、最近は保守系の票も意識し、発言を玉虫色にしている。
また、「103万円の壁」問題で一定の評価を得たこともあり、ここを基盤に支持層を広げる余地がある。
国民民主が「安倍政権時代の自民党」のような立場を取り、
• 安全保障・経済では保守色を強める(防衛費増額、経済安全保障強化など)
• 内政は緩やかに左寄りを維持しつつ、急進的な政策には慎重な姿勢を取る(選択的夫婦別姓などの議論を続けるが、保守層にも配慮する)
こうした立ち位置を明確にすることで、「保守とリベラルのバランスが取れた政党」として浮上する可能性がある。
② 自民党内の保守派結集——「高市・小林ライン」の確立
現在の自民党内では、宏池会(岸田派)を中心に左派色が強まっており、保守派は弱体化している。これを打破するには、高市早苗氏と小林鷹之氏の連携が鍵となる。
この2人は前回の自民党総裁選に出馬したが、いずれも敗北。現在の政局を考えると、保守派が分裂している場合ではない。どちらかがどちらかに付き、羽生田氏や、可能なら麻生太郎氏の協力も得て、党内での保守再編を進めるべきである。
この動きの中で、
• 「国民のための政治を取り戻す」 というスローガンを掲げ、保守層の支持を再結集
• 国民民主とも連携し、左派化した自民党を保守路線へ引き戻す
• 政策の具体化(防衛政策、エネルギー政策、経済対策)を強化し、世論の支持を得る
こうした戦略が求められる。
③ 超党派の保守系連携——政策で団結する枠組みの構築
自民党内の保守派と国民民主が個別に動くだけでは、長期的な変革は難しい。そこで、超党派の保守系政治家が連携し、政策ごとに合意形成を図る枠組みを作ることが重要だ。
例えば、
• 防衛・安全保障政策 → 自民党保守派(高市・小林)+国民民主(玉木)
• エネルギー政策(原発再稼働) → 自民党保守派+国民民主+維新の一部
• 経済政策(財政出動・減税) → 国民民主+自民党保守派+立民以外の野党
このように、政党を超えて政策ごとに協力し、徐々に「保守系の軸」を強化することが必要である。
④ 長期的には2大政党制の確立へ——保守とリベラルの明確な対立軸を作る
最終的には、アメリカのような2大政党制に近い形を目指すことが理想である。
• 保守政党(右派):自民党保守派+国民民主+維新の一部
• リベラル政党(左派):立憲民主+共産党+れいわ新選組
これにより、
1. 「右派」と「左派」の対立が明確になる(現状のような自民党の中での保守・左派対立がなくなる)
2. 支持層も分かりやすくなり、政権交代が可能になる
しかし、この2大政党制を実現するには、自民党が大きく再編されるか、新たな保守政党が台頭する必要がある。
他に考えられる勢力構造
ここまでの4つの戦略に加え、以下のような動きも可能性として考えられる。
1. 維新の分裂と一部の保守派の合流
• 日本維新の会は、前原誠司氏を迎え入れるなど左寄りにシフトしつつある。
• しかし、維新内にも保守派は存在し、もし維新が完全に左に寄るなら、保守派が新たな動きを見せる可能性がある。
• その場合、維新保守派と国民民主、自民党保守派が連携し、新たな保守政党を作るというシナリオも考えられる。
2. 参政党や日本保守党の整理統合
• 現状、参政党や日本保守党は内部分裂が目立ち、保守系の有権者も敬遠しがち。
• もしこれらの政党が保守の受け皿として機能するなら、国民民主や自民党保守派と協力する形で統合を模索する可能性もある。
まとめ
現在の日本の政局は、保守勢力が分裂し、左派が相対的に強くなっている状況にある。これを打開するためには、以下の戦略が求められる。
1. 国民民主党が右派シフトし、「安倍政権時代の自民党」のような立ち位置を確立する
2. 高市早苗・小林鷹之を中心に、自民党内の保守派が結集し、宏池会の影響を抑える
3. 超党派の保守系連携を強化し、政策ごとに協力する枠組みを作る
4. 最終的には2大政党制を目指し、保守とリベラルの明確な対立軸を作る
この動きが成功すれば、日本の政治はより明確な対立構造を持ち、本来あるべき「政策論争による政権交代」が可能な社会に近づくだろう。