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新ガンダムが始まっていたぞ!

Amazonプライム・ビデオで配信が始まった新作ガンダム『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』を視聴。現時点で第2話まで公開されており、率直な感想としては「小賢しいことしてきたな」という印象。ネタバレは避けるが、どうやら一年戦争のパラレルワールド的な設定らしい。ファーストガンダムに強い思い入れがある層からすれば、「こんなのガンダムじゃない」という拒否反応があっても不思議ではないが、個人的にはこうしたアプローチは歓迎。

キャラデザは最近のアニメの流行とは微妙にズレていて、どこか『名探偵コナン』っぽい雰囲気。ガンダムは、はやりに流されないという伝統的主張だろうか?

だが動きはしっかりしており、作画も安定。もちろん1~2話で作画が崩れていたら、その後の評価はお察しだっただろう。内容がどうであれ、「ガンダム」の名前さえ冠していればスポンサーがつきやすいというのが現実。つまり、これはガンダムというコンテンツが持つブランド力=ビジネスモデルの強さそのもの。

ストーリー展開は現段階では読めないが、原作クレジットに「矢立肇」だけでなく「富野由悠季」の名が先にある点は注目に値する。サンライズの象徴的存在である富野の名前をそこに出してきた以上、少なくとも企画・構想段階で彼の思想が入っている可能性が高い。富野はアニメーターというよりも哲学者に近く、彼が関わる作品には常に社会構造や人間性に対する問いが含まれている。

彼が行ってきた批判は単なる反体制とは異なり、人間の業や社会の構造的な歪みにまで踏み込んでいる。以下、その主張を簡単に整理する。

  1. 教育制度への批判

    日本の詰め込み教育を強く批判。「考える力」を育てず、「従順な労働者」を生むための装置だと見なしている。アニメ制作を通じて、子どもに「自分で考える」力を育てたいという意図も感じられる。

  2. メディア・エンタメ産業への批判

    テレビやマスコミを「洗脳装置」とまで呼び、思想性や教育的価値を持つコンテンツが軽視されていると指摘。視聴率・売上至上主義の文化そのものに強く疑問を呈している。

  3. アニメ業界内部への批判

    第一線で活躍しながらも、アニメ業界の若手育成不足や商業主義の加速に苦言。「売れるもの」ばかり求められる風潮が作家性を潰していると考えており、「若者がアニメばかり見ているのは危険」という発言もしている。

  4. 人間の無責任さ・弱さへの批判

    「戦争は個人の感情から生まれる」「人間は未熟で愚か」といったテーマが彼の作品には繰り返し登場する。『Ζガンダム』や『∀ガンダム』ではその傾向が顕著であり、世代間の責任問題にも鋭く踏み込む。

  5. 宗教・イデオロギーへの懐疑

    盲目的な信仰や、何かを絶対視する価値観が破滅を招くとする描写が多い。『∀ガンダム』では、過去の栄光や宗教的価値観にしがみつくことの危険性が表現されている。

  6. 技術信仰・科学万能主義への警鐘

    モビルスーツなどの科学技術が人間性を破壊する危険を描いてきた。技術が人間を支配する未来に対して警鐘を鳴らしている。

こうした姿勢を見る限り、彼自身が作品を通じて「意見を押し付けている」と批判されても否定はできないだろう。ただし、哲学者的なスタンスを持つ人間が何かしらのメッセージを表現しないのでは、そもそも作品をつくる意味がない。今回の『GQuuuuuuX』にも、富野由悠季的な思想や警句がどこかに織り込まれている可能性が高く、そこに注目する価値はある。

万博パビリオンが作られる程に日本を代表するSF作品の始祖であるにも関わらずメディアがほとんど取り上げないのは左派メディアを否定している存在であるのも影響しているだろう。

株式会社バンダイナムコホールディングスは、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)へパビリオン出展します。「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」は、ガンダムを通して世界中の人々とつながり、ともに「未来」を考えるきっかけの場とすることを目指します。それは「未来」へとつながっていく

ちなみに世間の新ガンダムの反応は賛否両論。「エヴァっぽい」「ガンダムらしくない」といった否定的な意見もあれば、「こういう挑戦こそガンダム」「新鮮で面白い」というポジティブな声も少なくない。とにかく話題性は抜群で、SNSでも連日議論が続いている。

今後の展開次第では、賛否を超えた「一つの到達点」として評価される可能性もある。引き続き注視したい。

おーら
富野由悠季という人は若い頃理想と現実の狭間で苦労した人だと考えている。ガンダムなんて元々モビルスーツは1種類しか出てこない脚本だったのがスポンサーの意向で地味なロボット1種類だけではおもちゃが売れんだろ!と次々モビルスーツを生み出したり、夏に向けては海型ロボットは必要だろ?とアッガイやズゴックを作らされた。富野由悠季の好きなままに作らせると地味なロボットが出てきて滅多に戦わないバイファムのようになってしまう可能性が高い。ある意味ガンダムブームの生みの親は商業主義のスポンサーのおかげだった。素晴らしい作品を作る才能より商業主義の方が世には受けるのか?だから彼はいつも理想と現実の狭間で思い悩んでいると思っている。
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