70歳労働と年金と健康寿命と211万円の壁

70歳労働

国は現在65歳までの雇用の義務付けを70歳まで引き上げる方向で検討を始めている。

年金68歳や70歳支給開始を標準にするための下地作りに相違ない。

その代わり70歳からの支給額を現在の1.5倍に引き上げる意向だ。

出典中日新聞

現状で生涯平均報酬42.8万円の夫婦の場合60歳退職で65歳年金受給だと月額支給21.8万円が70歳まで働いて70歳から受給だと33.1万円に引き上げられる。

この試算は働いている間は年金を支払うのが前提になっている。(ひるおび 11/6放送より)

生涯労働期間が60歳の38年間が21.8万円とすると70歳で48年間だと本来27.5万円なので33.1万円は破格の金額に見える。

仕事が好きな人にとっては良い選択肢となろう。

しかし企業の立場になるとロートルが会社に居続けるわけだ。

一部の優秀な人や特殊な技能を持つ人をキープするためにはありがたい選択肢だがこういった制度にのるのは大抵使えない社員と相場が決まっている。(個人の見解です笑)

だから企業側もこの制度で会社のパフォーマンスや利益を下げないために防衛策をめぐるだろう。

給与

そのひとつとして賃金面積の引き下げが考えられる。

現在のサラリーマンの賃金は業種にもより違うだろうがざっくりこんな傾向だ。

入社以降右肩上がりで40代後半、50代中旬までをピークとしてそれ以降ほぼ一定で60歳を超えて継続する場合はシニア制度でガタンと下がる。

もし70歳が定年になると経営者はこんな賃金へ変更しようと考えるはずだ。

自分が経営者だったら45歳で60歳定年か70歳定年かを選択させて60歳定年であればこれまで通りの賃金体系として70歳まで働きたいのであればそこをピークとして給与を年々削っていく。

結果生涯給与面積を60歳まで働いていた者と70歳まで働く者でできる限り差をなくしたい。

70歳を選択した場合相応に給与が減ると伝えるものの比較検討できるような資料を提示することは無い。

会社に残って欲しい人には別のオファーも考えるがあくまで一握りの人だ。

もし生涯年収面積が変わらず雇用期間だけ延びると平均標準報酬42.8万円は引き下がる。

すると結局本来の27.5万円の支給額に収束してしまうのではないだろうか?

年金総支給額比較

次に男性の平均寿命(78.67歳)から上記サンプルで生涯年金支給額を算出する。

60歳まで働いて65歳で支給され80歳で亡くなるケース

21.8万円x12カ月x 15年 = 3924万円

70歳まで働いて70歳で支給され80歳で亡くなるケース

33.1万円 x 12カ月 x 10年 = 3972万円

奥さんが受給される遺族年金は有利になりかもしれないが本人にとってはほぼ変わらない。

もちろん遺伝子検査などでテロメアが長く長寿リスクがあるなら70歳支給が有利だが平均寿命だと10年余計に働いて5年遅れて同額しか支給されないのだ。

健康寿命

平均寿命とは別に健康寿命がある。

健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間だ。

女性が約75歳に対して男性は72歳だ。

だから男性だと70歳で隠居して72歳の2年間だけ趣味をして遊んで残り亡くなるまで病院のベッドの上か自宅療養をする生活となる。

まさに生涯働く人生だ。

仕事が楽しくて仕方がない人なら関係ないが多数の人は仕事で少なかれストレスを受けている。

60歳までストレスを浴びるのと70歳まで浴びるのではどちらが健康にいいかいうまでもない。

下手をすれば70歳前にぽっくり行くか生きていても定年まで勤められず死亡退職か入院退職なんてことにもなりかねない。

このあたりの法を整備しないと70歳定年を一般化するのは難しいだろう。

211万円の壁

年金支給額が211万円と212万円の1万円の差で大きな格差が生まれている。

税金、医療制度、自治体の特典が異なって手取りが約8万円逆転する。

出典マネーポスト

サンプルの夫婦暮らし60歳で年金を21.8万円支給されるなら影響はないが夫婦暮らしで支給額が17.6万円前後や独身者で12.9万円前後だとまさに「211万円の壁」が立ちはだかる。

211万円の壁を超える人は支給を繰り下げではなく少し繰り上げして211万円以下に調整するとお得になる。

しかし70歳まで働き70歳から支給で211万円を超えていると繰り上げ調整は不可能になる。

税金はマジョリティから搾取するのが世の常なので仕方がないが税制によって70歳年金が不利になるのではモチベーションも上がらないだろう。

さいごに

年金は今後収入が減るので政府はあの手この手で支出引き下げに手をつける。

これから年金を受給する人たちが監視して不利益になりそうな法案を通そうとしたり通過させたら「お前ら次の選挙で負けるぞ」と圧力を与え選挙には必ず参加することが重要だ。

既に年金貰っている人にとってはどこ吹く風の話題で無関係なのでこれから10年後20年後に支給を受ける我々の世代が考えなければならない。


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