がっちりマンデー9/25放送のスゴい工場の回を観ていたら興味深い会社を紹介していた。
パプアニューギニア海産というエビを加工している会社で20人のパートさんがいて3年間で辞めた人がゼロらしい。
パートで働いたことはないがそんな職場は珍しいようだ。
その辞めない理由は遅れるや休むの連絡を禁止にした。
他にも
- シフトなし
- 好きな時に来て働ける
- 好きな時に帰れる
- 連絡なしで休める
要はパートさん全員フリースケジュールだ。
離職率が極端に下がったのでパートさんが経験を重ねてベテランになるので効率が上昇して人件費コストが3割下がった。
こんな勤務体制にしたら生産力が低下するはずと誰しも考える。
しかし社長曰く「自由にすると人は来ないと思うが自由にしても来る。単純にいうとパートさんは時給だから」
長いスパンで見ると出勤率が上がり生産量は落ちず欠品率もゼロになった。
にわかに信じられない。
更にもうひとつ禁止ルールがある。
それは毎月アンケートを取っており各自が嫌いな作業項目に✖︎を打ってもらって好きな作業だけをする。
みんな好きな作業しかしない。
目先の生産効率よりも従業員のストレスになることに注目してそれを禁止して生産品の品質も向上し受注量も増加した。
カメラはスタジオに移り、
ロッチ中岡「例えば8月の出荷量が足りへんと相手先がもっとくれと言ったらどうするのか?」
武藤社長「まあ困ったことがないので勝手に不安になって引くのじゃなくてそういうふうになってきてから考える」
森永「単に休むとか遅れるを自由にしただけではなく職場の助け合いも禁止にした。助けなきゃいけないのがストレスになるし助けてくれないと思うことがストレスになる」
加藤「聞いていいですか?仲良くなるのはokですか?」
武藤社長「仲良くするなと言ってます。皆んなが求めているのは争わずに仕事を続けていきたい。仲良くなると自然と派閥ができたり、仲が悪くなるとどちらかがやめてしまうので無理に仲良くなるのはやめて平凡な単純な日々をみんなで過ごすのがいい」
加藤「これは新しいマネジメントですよ。ある種ドライであるけど理に適っている」
ここまでが番組の内容だ。
すごいな。
自分が会社を辞めた理由に口上を垂れていたが結局は決まった時間に出社するのが苦手だった。
成果主義で自由出社の職場に一旦は居たが異動によってその制度が無くなり定時出社になる。
それで早期退職を決めた。
正社員と番組内の企業のパートさんでは時給制と給与制で異なるので単純な比較はできない。
社員の場合は最低労働時間が決まっているのでその時間働かないといけないから自ら時間管理をするが社員だと休んでも給与は変わらないので通用しない。
成果主義の職場であれば常に好成績だったので好きな時間に働いていられた。
そんな会社が他にもあればよかったが見つからないので辞めた。
この番組やスタジオではフリースケジュールで工場生産力が落ちず逆にコストが下がったことをMC加藤さんが新しいマネジメントと結論づけていたが本質はそこではない。
パートさんのストレスを可能な限り取り除けば会社にとってプラスに働くと信じてそのストレスをひとつずつ取り除いていき、その中に「決められた労働時間」もあっただけ。
これには常識に囚われていては思いつかない。
すごい社長と一瞬思ったが彼の軌跡を調べてみるとパートさんのストレスになることというより社長自身がこれまでの仕事の中でストレスと思ったことを無くしていったようにも見える。
なぜなら彼がその結論に辿り着くためにはパートさんのストレスを把握するためアンケートを取るはず。
しかし「朝決まった時間に出社するのが嫌」とか「体調が悪く休みたいときに電話することが嫌」なんて回答はまず出てこない。
パートさんも常識に囚われるのでそれって社会人としてどうなの?という反応が怖くて無記名アンケートでも答えられないだろう。
若しくはそんな非常識なパートさんが何人か居たのでこの結論に辿り着いたのだろうか?
もしそうなら社長は非常識を非常識として排除しない柔軟な頭だった。
実際に管理職でES向上活動をやっていた時もQC手法で現状把握と対策をしても権限の範囲では出来る内容が限られてしまいしょぼい結果だった。
ES活動なんてしょせん実態は社員向けに経営陣が管理職にみなさんのために活動を命じていますよ的なアピールのためのもの。
この常識の範疇でしか対応できない手法では武藤社長の域には辿り着けない。
だからこの企業から学ぶべきは表面に見える勤務体制変更や苦手な作業をしないや馴れ合い禁止ではなく最初から諦めてしまっている阻害因子を大胆に取り除くために全てを無にして再構築してみることなのだろう。
と無職がほざいてます笑